本研究課題では、情報をデザインする学習を通して、相手の気持ちを読み取り理解しながら適切に表現する力をつけることをねらうものである。情報デザインに特化した題材で作品制作を行い、教師の評価のみならず、授業参加者全員から客観的評価を受けることで、他者に対する深い理解とコミュニケーション能力の向上を目指し、これを支援する教材開発を行うことを目的とした。本年度は、情報デザイン教材コンテンツとして、「COMSUD Education」を試作し、デザイン系の授業で試用を行った。システムは、学生と教師の相互評価を支援する環境の提供を目的として、strutsを用いて開発した。サイトへは大学内専用ポータルサイト内のメニューからアクセスする。トップページには「現在の課題」と条件が常に表示される。学生は制作した作品を「課題提出と評価」メニューから投稿し、自己評価を行う。教員の管理ページは「課題登録管理」「課題評価」「閲覧機能」にわかれる。「課題登録管理」では、受講生の登録、課題の登録、提出された課題を管理する。課題登録を行い、一つの課題が設定されると、システム内の記憶域には、その課題に対して一つのフォルダが割り当てられ、受講生に個々のフォルダが割り当てられる。課題が投稿されると、受講生フォルダに登録される。学生が作品投稿を行うと、評価画面が開き作品を自己評価しコメント欄に自由に質間や感想を入力する。教員も投稿された作品を確認し評価と助言を行う。学生は教員との評価を比べながら作品を修正し再提出を繰り返し行う。再提出によって作品は上書きされるのではなく、別ファイル名がついて蓄積される。これにより、学生は作品完成までの経過をポートフォリオ形式で振り返りながら確認することができる。課題は案内図を制作するものであり、難易度が高い課題であったが、情報を整理する技術、配色、細部の表現まで、複数の要素をとらえながらより完成度の高い作品に仕上げる過程を確認することが可能となった。本年度の研究の経過は、教材コンテンツの作成と授業実践の結果を中心に学会発表を行った。
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