研究概要 |
大学をはじめとした高等教育機関に進学する聴覚障害を持った学生が増加し,講義内容の情報保障等の障害支援に対するニーズが高まっている。日本の高等教育機関における情報保障システムとしては,ノートテイク・要約筆記・手話通訳・音声認識ソフトを使った音声字幕システム等が主に用いられているが,日本語の情報保障が中心であり,語学学習には十分に対応していない。音声字幕システムは英語の認識・文字変換率に優れているが,即応性の面ではノートテイクの方がユーザに好まれる。そこで,複数の情報保障情報を一つのインタフェースで提示することで,質の高い語学学習を促進できると考えた。本研究では,2年間の研究期間中において,聴覚障害学生の語学学習を円滑にする情報保障システムとして,音声字幕システムとノートテイクを統合することで,リアルタイムで情報保障が可能な語学学習支援システムを開発し,その運用について検討する。平成18年度は,以下の2つの研究を中心に行った。 (1)最新基盤技術の整理:英語学習支援システムの開発時点での最新基盤技術に関して,情報収集を行った。日本における支援機器のデータベースであるこころWeb(http://www.kokoroweb.org/)等から,聴覚障害学生に対応した支援機器の最新情報を収集した。また,収集した情報から音声認識ソフト・タッチパネル等の最新モデルを,支援システム構築のために購入した。 (2)英語学習システムの開発:適用可能と判断された基盤技術を用いて,英語学習支援システムの開発を行った。音声字幕システムには,最新の英語対応音声認識ソフト(ScanSoft社,Dragon Naturally Speaking 2005 Professional)を用いた。ノートテイクシステムには,モニタ機能がついたペンタブレット(ワコム社,DTI-520 U)を用いた。
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