研究概要 |
平成18年度は、先行研究の整理及び研究方法の検討を行った。同年代の仲間を仲介とした療育方法には、仲間に社会的な行動のモデルを提示させ、自閉症児の社会的な反応行動を引き出す方法(English, Shafer, Goldstein, & Kaczmarek, 1997)や、仲間が社会的スキルの指導者として自閉症児の社会的行動を積極的に強化する方法(Odom & Watts, 1991)などがある。Pierce and Schreibman(1995;1997)は、これらの療育方法を用いて、学齢期の自閉症児の社会的な反応行動や自発行動を増加させることに成功した。しかしその後、これらの方法の幼児期の自閉症児への適用については確かめられていない。そこで本研究では、Pierce and Schreibman(1995;1997)の研究で採用された方法を幼児期の自閉症児(3〜5歳)へ実施し、その効果を検証する。具体的には、幼稚園・保育園に通う自閉症児のクラスメイト(定型発達児3〜5歳)が、自閉症児の好きな玩具と選択の機会を利用して働きかけることによって、自閉症児の社会的行動が増加するかどうかを調べる。先行研究の整理に加え、対象児の行動の記録に必要な観察用機材と行動解析用のソフトを購入し、データ収集・解析の準備を進めた。シングル・ケース計画法に基づいて、ベースライン期、仲間への指導期、療育実施期、プロンプト除去期、維持期の順に、対象児の行動をビデオカメラで撮影し、ビデオテープに記録する。行動コーディングシステムを利用して、ビデオテープを見ながら対象児の行動をコード化する。コード化したデータを行動解析用のソフトで分析する。平成18年12月に、愛知県コロニー発達障害研究所倫理審査委員会の承認を受け、市内の幼稚園・保育園と連絡を取り、対象児を選定中である。
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