本年度は、2006年度以来、3年におよぶ研究の最終年次にあたるため、第一に、これまでに収集したデータを加工し、分析すること、第二に、以上の研究成果を学会や各種の研究会で報告するほか、報告時に頂戴したコメントや批判を踏まえて、論文としてまとめ、出版・公表すること、第三に、こうした作業過程の際に新たに必要となった補足的史料やデータを収集すること(オランダ国立公文書館での史料調査・収集も含む)、という3点を中心とする総括的研究を進めた。3年間にわたる研究の実施により、18世紀におけるオランダ東インド会社のアジア間貿易の実態を解明するとともに、当該期の海洋アジア地域でのアジア間海洋貿易の全般的な構造や、同じく海域アジアの一般的な経済動向とその変容を、オランダ東インド会社によるアジア間貿易とのかかわりのなかで、一種のパイロットスタディーとして実証的に明らかにするという当初の目的を達成することができたと考える。なお、第3年度における本研究に関連する研究成果としては、後掲の通り、論文2編(図書に掲載された論文1編を含む)、書評1編、学会報告4件(国際研究集会での報告1件を含む)がある。そのほか、比較的小規模な研究会での口頭報告が2件あり(発表標題は「長崎出島のアジア人奴隷とオランダ東インド会社」、"South-East Asian Tin Production and its Exort Trade in the Eihteenth Century")、くわえて、現在のところ査読中ないし印刷中の論文5編(うち3編は英文)をも挙げることができる。
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