研究概要 |
前年度に引き続き,Cherednik代数の表現論を中心に究を進めた. これまでの研究で得られた,共形場理論によって与えられるA型のCherednik代数とアフィンLie代数の最高ウエイト表現の圏の間の対応(関手)について,「最高ウェイト被覆」(またはquasi hereditary被覆)の理論を用いた新しいアプローチを探った. この目的のため,この理論のパイオニアである,オックスフォード大学のRouquier氏を訪ねて討議を行い,多くの有益な助言と知見を得ることができた. また,エジンバラ大学におけるCherednik代数をテーマとする研究集会に出席し,多くの専門家と,より広い関連する問題も含めて議論・情報交換を行った. 結果,上の対応の重要な性質が,ホモロジー代数的な計算に帰着できる見通しが得られ,現在この計算を遂行中である. さらに,この手法はA型以外の場合にも拡張可能であり,アフィンLie代数の最高ウエイト表現の圏(の適当な部分圏)がWirman-Murakami-Wenzl代数の表現の圏の最高ウエイト被覆になっていることの証明に応用できると期待される.この問題についても準備を進めているところである。 また,国際研究集会 "Exploration of new structures and natural constructions in mathematical physics"において行った講演に基づき,公形場理論の枠組みを介した表現の圏の間の対応とその導出について詳細に述べた論文 "Conformal Fleld Theory and Representations of Cherednik Algebras of type A"を,同研究集会のプロシーディングスに投稿準備中である。
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