ビルディングブロックとはQ曲線やGL_2-typeのアーベル多様体を一般化した代数体上定義されたアーベル多様体である。今年度の大きな成果は、山内卓也氏との共同研究による、Q上の楕円曲線の有理的ねじれ群に関するMazurの結果のQ曲線への一般化が、学術論文として、Joumal de Theorie des Nombres de Bordeaux誌に掲載されたことである。 昨年4月以降、本科学研究費の助成により、代数学をはじめ数学一般の文献を充実させた。そして、昨年度得た虚数乗法を持つQ曲線の形式群の構造に関しての結果を学術論文にまとめた。本科学研究費の助成により、7月にカナダのウォータールー大学で開催された国際シンポジウム「Canadian Number Theory Association X Meeting」において、講演を行った。海外の研究者との研究交流もはかれ、有益な研究集会参加となった。 代数体上定義されたアーベル多様体の有理点のなす群は、Mordell-Weilの定理により有限位数のねじれ群とランク有限の自由アーベル群の直和となる。山内卓也氏とランクに関しても研究をすすめ今井秀雄氏の結果をFaltingsの結果を用いて一般化した。現在論文として投稿中である。 さらに、最新の研究成果交換の場として7月に開催された広島整数論集会に世話人として参加した。また、「ひらめき☆ときめきサイエンス」にて研究成果の一端を中高生に紹介した。
|