本年度は、数論的関数の和より生じる誤差項の離散型・連続型の2平均の差に関しての考察を行った。この研究は、近年に本研究課題研究代表者により得られたこれら2平均の差に関するある種の恒等式の応用である。今までに得られたもの・知られているものは「Dirichletの約数問題」「Gaussの円問題」に関する結果である。これをふまえ本年は「一般約数問題」における誤差項の上記の2平均の差の解析を行った。この種の応用に関して問題となってくる点は(1)誤差項の精密な漸近表示、特にChowla-Walum型表示の再考察(2)ある単項式と周期的ベルヌーイ関数の積を含む積分の漸近表示(3)(2)より生じる表示を含む和の解析、である。(1)(2)については複雑な形ではあるがある種の漸近公式を得ることができた。(3)に関しては「期待されていたような結果」または「最終結果を得ることが期待されるような途中結果」を得ることはできなかった。これを打破し最終結果を得るためには新たなる方法による積分・和の取り扱いの理論を構築していく必要性があると思われる。この点を考慮しながら、この研究は平成19年度以降の研究として取り組んで生きたいと計画する。 また、高次幕における離散型と連続型の2平均の差について既存の結果の改良に、共同研究という形で取り組んだ。既存の研究ではChowla-Walum型公式の適用が重要な要素になっているが本研究では誤差項の別表示(Voronoi型の表示)を適用することにより別方向からの漸近公式の導き方に注目している。この研究に関してもまだ最終結果と思われる部分にまで到達してはいないが、今後も継続し更なる発展を目指し研究を続けて行きたいと考えている。
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