本年度の研究も過年度同様に「離散型平均および連続型平均の差の解析の研究」を中心に取り組んだ。その1つとしては過去において考察された「数論的関数およびその和より生じる誤差項との積についての和公式」の一般化として「数論的関数および任意の誤差項との積についての和公式」の考察を行なった。これに関してはある種の恒等式を得ることができたが約数問題や円問題等への具体的な問題へのその恒等式の応用までは到達してはいないのが現状である。また本年度は「誤差項を係数にもつディリクレ級数の解析的性質の考察」についての研究を共同研究という形で取り組んだ。特にこの研究では、約数問題の誤差項Δ(x)に対し、Δ(n)およびその2乗を係数とする場合、Δ(n)と約数関数d(n)の積を係数とする場合のディリクレ級数に対し「解析接続」「極の状況」等の解析的性質の考察を行なうた。また、Δ(n)^2のディリクレ級数の性質とΔ(x)の二乗平均の漸近公式における係数との間の関係の考察も行なった。さらに、約数問題の種々の平均値定理を利用しΔ(h)^2およびd(h)Δ(n)の場合についてのディリクレ級数のオーダー評価を考察し、それらの級数が解析接続されている領域の一部に対して、虚軸方向についての非自明なオーダーを与えることに成功した。これらのディリクレ級数はΔ(n)に関連する離散型平均値の生成関数とみなすこともでき、これらの結果は離散型平均値の研究に進展を与えることを期待しえる結果である。
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