研究概要 |
2次元特異点のリンクがQホモロジー球面のとき,それは普遍アーベル被覆をもつ.本年度は,普遍アーベル被覆がsplice type(Brieskorn完全交叉の一般化)になる特異点,すなわちsplice-quotient特異点の不変量について研究を進めた. まず,特異点解消空間のある種の直線束のコホモロジーの次元を与える公式を示した(論文は投稿中).その系として種数公式が得られるが,双対グラフから帰納的に計算できる形である.次に,上の公式を応用して,A.Nemethi氏と共同で次に述べる結果を得た. (1)Nemethi-Nicolaescuによる2次元特異点の幾何種数に関するSeiberg-Witten不変量予想をsplice-quotient特異点の場合に肯定的に解決した(論文は投稿中). (2)Neumann-WahlによるCasson不変量予想をsplice type特異点の場合に肯定的に解決した(論文は投稿中). 実は,(2)の一般化が(1)なのだが,両者は異なる方法で証明されている. (3)一方,(1)で述べた予想の一般化として,直線束のコホモロジーの次元に関するものがあるが,C^*作用を持つ場合に肯定的に証明した. splice-quotient特異点の不変量に関することでまだ解決すべき問題があるが,それについては継続して研究を行う.
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