研究概要 |
3次元球面内の結び目に沿うデーン手術(Dehn surgery)でレンズ空間が生じる"例外的"な現象は「レンズ手術」と呼ばれ、低次元多様体論の研究課題となっている。筆者が2003年度から継続している研究は「多くのレンズ手術はA'Campoが定義したdivide knot(特異点論に由来)であり、対応する平面曲線は『L型』の領域に沿って斜めの格子を切り取った形状をしている」という現象の分析である。08年度の成果は1. より一般的なレンズ手術のL型曲線によるdivide表示の論文が, 数回の推敲の末に掲載内定に至った. 2. 森元勘治氏との共著論文が掲載内定に至った. Twisted torus knotsはdivide表示の利点が活かせる族である. 3. 異なるtorus knotが同じレンズ空間を生む手術の組に関して丹下基生氏との共著論文を執筆した. 4. ある2成分絡み目のレンズ手術の可能性について門上晃久氏と共同研究を開始した. 5. 夏の米国出張でK Baker氏から上記1. で扱うことのできなかったレンズ手術に関してヒントを得た. それによってdivide表示が最も困難と思われた8型手術についての研究が進んだ : それらもdivide knotではあるが, 対応する曲線はL型ではないようだ. 米国・韓国の集会を全日程参加するために、勉強会や計算機の購入は見合わせた。9月の学会で上記4. の前段階にあたる研究を報告し、上記5. の研究成果は1月(韓国), 3月(広島大)の集会で講演した。
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