研究概要 |
私の研究は空間のホモトピー論における局所的性質と大域的性質について行われる. (1)局所的性質に関する研究 J.-P.Serreの古典的結果としてホモロジー的に有限なH空間は有理化すると球面の直積と同じホモトピー型をもつことが知られているが,さらに現在ではこれを一般化した結果からH空間を素数pで局所化したときpを大きくすればするほどホモトピー型が単純になることが知られている.これを念頭においてC.A.McGibbonはコンパクトリー群を素数pで局所化した際にどの素数pでならその局所化がホモトピー可換になるのかという問題を出し,単連結な場合に解答を与えた.この問題に続いて鍛治静夫氏と私はコンパクトリー群を素数pで局所化した際に積構造がどのように変化するか,つまり,どの程度非可換なのかという問題を考え,その局所化が球面の直積と同じホモトピー型をもつ際に解答を与えた.それによるとこの範囲のpに関しては単調に積構造が単純になることがわかった.次に私はこの問題を特殊ユニタリ群の場合に考え,さらに多くの素数pでの解答を与えた.これにより積構造の単純さが一般に単調に変化しないことがわかった。 (2)大域的性質に関する研究 Gを位相群とするとき主G束Pの自己同型で底空間の恒等写像を誘導するもの全体からなる位相群をPのゲージ群という.このゲージ群のホモトピーを高次ホモトピー結合性という観点から研究した.特に,ファイバー射入G→Pはゲージ群を含む位相群の拡大を与えるが,その群拡大が高次ホモトピー結合性を保って分裂するとはどういうことなのかを研究した.
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