非安定K理論とは空間Xに対してXからユニタリ群U(n)やΩU(n)へのホモトピー類のなす群を対応させる関手である。これはnが大きいときには通常のK理論と一致するが、nに比べ空間の次元が大きいときは非可換性が現れる。この非可換性はユニタリ群のもつホモトピー的な非可換性の現れに他ならない。実際、空間Xの次元が2nのとき非安定K理論はK^1理論の中心拡大になっており非可換(巾零性のクラスが2)な例が生じる。その後、空間Xの次元が2n+1、2n+2と上がるにつれ、Xの非安定K理論で巾零性のクラスが3、4と高い例がみつかった。このようにU(n)の高いホモトピー的非可換性が明らかとなったが、これについて論文をまとめた。また、このような巾零性をさらに詳しく調べるため、U(n)をどのような素数pで局所化したときに、どれくらいの巾零性が残るかについて、20年度にむけて現在研究を進めている。 さらにこのような非安定K理論の応用として、ゲージ群のホモトピー型の分類が考えられる。M.C.Crabb及びW.A.Sutherlandにより、底空間Bとリー一群Gを固定したとき、B上のすべてのG-主束Pを考えると、Pに付随するゲージ群G(P)のホモトピー型は有限種であることが示されているが、これの具体的な例として4次元球面上のSU(n)-束に付随するゲージ群のホモトピー型の分類について非安定K理論が有効である。この手法をさらに進めて、6次元球面上のSU(3)束のゲージ群についても完全な分類に成功し、これを論文としてまとめた。
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