研究概要 |
円環領域上での渦点の生成現象の数値計算と理論解析を行った。 ある境界条件ではGinzburg-Landauパラメータ(GLパラメータ)が大きい極限では渦点の対生成は起きないことが知られているが、有限のGLパラメータのもとでDirichbt型の境界条件を与えたとき対生成が生じること, 生成した後GLパラメータを大きくしても, 数値的には渦点の消滅は生じないことを確認した。この現象の違いの数理的な理解は今後の課題である。 数値計算は、極座標で離散エネルギーを構成しその減少方向として差分スキームを導出する離散変分法を用いたが、この問題の場合複素数値関数の周期境界条件を考えることになり"位相が一周期で2πの整数倍変化する"という拘束条件が自動的に付加されるため、数値計算の手法として「拘束条件付の離散変分法」と言うべきものを考慮する必要があった。これらの結果の一部について, 平成21年3月に行われたTohoku University Science Web GCOE The 1^<st> GCOE International Symposiumで「Emergence and Annihibtion of Vortices in Ginzburg-Landau Equations」というタイトルで30分講演を行った。 また、Machida-Koyamaの提案した超伝導現象とBose-Einstein凝縮現象をパラメータでつなぐモデルの解析(解の局所存在、数値計算)を行った。元のMachida-Koyamaのモデルは未知関数の満たす方程式が通常の発展方程式の理論を適用しにくい形であったが、変数変換を行うことで反応拡散方程式と非線形シュレディンガー方程式の連立方程式に書き直すことができた。このことにより解析が容易になった。 これらの結果とその後の拡張された結果を含め、論文誌への投稿を準備中である。
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