クリスタライン曲率によって動く2次元平面上の多角形領域の運動を解析した。 (1)クリスタライン曲率流方程式およびその一般化の解析 多角形を許容多角形と呼ばれる多角形のクラスの中で考え、このクラスの中で問題を解くことができるための十分条件を明らかにした。また、その際の解の挙動について詳細に解析を行なった。解析では、境界の自己交差および辺の消滅に焦点をあて、その解析を行なった。非凸自己相似解については、特別な場合には非存在であることが分かった。一般の場合は、次年度以降の課題とする。 (2)面積保存型クリスタライン曲率流方程式の解析 (1)と同じく、許容多角形のクラスで解多角形を考え、非負曲率をもつ初期図形に対して、凸化現象が成立することを証明した。(投稿準備中。) より一般の非凸界面については、特別な場合の領域非分裂の十分条件等を明らかにしたが、より一般の場合の解の挙動は未だよく分かっていない。次年度以降の課題とする。 (3)氷単結晶中の負結晶界面の運動 氷単結晶中の負結晶界面の運動を、クリスタライン運動の枠内で捉え、表面エネルギーの勾配流として、面積保存型クリスタライン運動を導出した。界面が凸の場合、過去の結果を利用することにより、ウルフ図形を裏返した図形に解多角形が収束することが分かった。
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