研究概要 |
1. 高階微分の境界条件を持つ非定常ナヴィエ・ストークス方程式の有限要素解析 本研究課題が対象とする問題の固定領域化によって導かれるこの方程式は,固定領域化に伴う変数変換と表面張力の考慮により,通常よりも強い位相での安定性が必要となること,高次の非線形性が存在すること,といった2点の特徴を持つ.これらの特徴に対応するためには,非線形残差項に対する評価を行なう際に離散グロンウォル不等式の適用方法を工夫する必要がある.既に熱対流問題の有限要素解析で提案している手法を応用することで,より非線形性の強い残差項の評価に対する知見をさらに得ることができた. 2. 熱対流問題の有限要素計算 研究代表者が既に理論的な正当化を行なっている物理係数が温度に依存する熱対流問題に対する有限要素法を,現実のガラス溶融炉問題の解析に適用し,電極配置の違いによる熱収支の変化を基に,より適した操炉条件を得るための調査を行なった.また熱収支の有限要素計算に関する誤差評価も得ることが出来た.この際調査に前年度で作成したPCクラスターを利用することで,その試験運用の役割を果たすことができた.またここで扱った熱対流問題は,既に述べたように,その非線形残差項の評価が本研究課題における目的達成のための基礎になるなど,密接に関連している.
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