研究概要 |
当初の目的では、ジョンソン・アソシエーションスキーム(以下JS)のモジュラー隣接代数構造の決定であった。m個の元からなる集合Mのn個の元からなる部分集合達の集合に対して距離が定義できう。これよりJSが得られる。これをJ(m,n)とかく。Fを標数P(>0)の体として、FJ(m,n)=F【cross product】_zAの構造を明らかにすることが目的だった(ただしAはJ(m,n)から得られる隣接代数とする)。 しかし、本研究課題の2番目の日的である拡張されたJSの構造に関する研究で進展があった。Gをm次対称群S(m)とし、HをS(n_1)×S(n2)×…×S(n_1)なるGの部分群とする。ただし、n_1+n_2+…+n_1=mである。GのHによる右剰余類をXとするとX上にGは可移に作用している。GをX×Xに自然に作用させた時の軌道全体をR_0={(x,x)|x∈X},R_1,…,R_nとしてアソシエーションスキーム(以下AS)が得られる。これは、可換ではないが1=2のときJSなので、この意味でJSの一般化である。このモジュラー隣接代数の指標をASの理論から決定し、対称群の表現と計算機実験から指標と対応するヤング図形の関係を明らかにすることが最終的な目的である。しかし、この拡張されたJSについては、組合せ論的には研究されていなかった。 そこで研究代表者は、このASを多重集合と行と列の和がそれぞれ一定である行列を用いることで組み合わせ論的構造としてとらえることに成功した。これはJSの組合せ論的構造の一般化であることもわかった。この方法により隣接代数の構造定数を決定することができた。この結果は単著論文としてSUT Journalに投稿中である。
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