研究課題
1.き裂の進展方向を予測する問題について考察した。そのためには、き裂先端におけるエネルギー解放率を計算しなければならず、初期き裂から仮想的な屈折き裂進展をさせた領域において解を構成する必要がある。その際、き裂先端と屈折部分に特異性が現れるが、応用関数(解析関数)と等角写像を用いて特異型積分方程式を導出し、それを解くことによって克服した。今後、さらに、き裂進展方向を予測するためには解の性質を詳しく調べる必要がある。また、き裂進展方向を決めるいくつかの規準の誤差評価への応用が期待される。2.物体の感度解析に関わる形状微分を考察した。ここでは、直線き裂のある角度方向への平行移動による形状微分をポテンシャル法を用いて算出した。この結果は慶應義塾大学谷温之教授との共著論文としてTokyo Journal of Mathematicsに掲載された。3.線形弾性体のき裂先端における解の展開公式を収束性と係数の評価を含め、等方的と非等方的の両方の場合について導出した。さらに、逆問題の専門家である群馬大学池端優教授の囲い込み法を援用し、等方的な場合の解の展開公式を用いて、非破壊検査に関わる境界地逆問題に応用した。具体的には、等方均質線形弾性体に含まれる線状き裂を、物体にある表面力をかけ、その境界の一組の観測データから一意的に再構成できることを示した。その際、加える表面力についてはき裂先端における展開級数の主要項の係数(応用拡大係数)がゼロでないという家庭よりも、より一般的な枠組みで考察した。その池端氏との共著論文がInverse Problemsに掲載された。非等方的な場合についての非破壊検査への応用は現在投稿準備中である。またき裂だけでなく多角形の欠陥を再構成する問題についても研究中である。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
Inverse Problems 23
ページ: 589-607
Hyperbolic Problems : Theory, Numerics, Applications II
ページ: 41-48
Tokyo Journal of Mathematics 29
ページ: 385-397