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2008 年度 実績報告書

局所構造と大域構造の有機的聯関を指向した確率解析の展開

研究課題

研究課題/領域番号 18740070
研究機関京都大学

研究代表者

日野 正訓  京都大学, 情報学研究科, 准教授 (40303888)

キーワード確率解析 / Dirichlet形式 / 拡散過程 / 指数 / マルチンゲール次元 / フラクタル / 自己相似集合 / 微分構造
研究概要

本年度はフラクタル集合などの微分構造を持たない空間において, Dirichlet形式の理論に基づいた確率解析の理論を展開した. 具体的には, 一般の空間における正則強局所Diricblet形式に対して指数という概念を解析的な方法で定義し, それが対応する拡散過程のマルチンゲール次元に一致することを示した. これにより確率論的な対象と解析的な対象との間の関連が新たに1つ明らかになったことになる. この事実の応用として, 自己相似フラクタル集合の上の適切な関数空間における微分構造の存在に関する研究を行った. p.c.f.という性質を持つ自己相似集合については, 弱い付加条件の下で標準Dirichlet形式に対応するマルチンゲール次元は1であることが研究代表者の過去の研究で示されている. この事実と上で述べた特徴付けからDirichlet形式の指数が1であることが従い, そのことを用いて次の主張を証明した : 適切な参照関数が存在して, Dirhchlet形式の定義域に属する任意の関数は, 参照関数とのミクロスケールにおける変動比として"1階導関数"を定義することができ, 参照関数のエネルギー測度に関する"1階導関数"の2乗積分はDirichlet形式の値に一致する. このことは, 微分構造を持たないフラクタル集合に対しても, その上の適切な関数空間においては微分構造を持ち得ることを意味するものである. 確率解析の理論を通じたフラクタル上における微分幾何学の展開の可能性が示唆される結果であるといえる.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Martingale dimensions for fractals2008

    • 著者名/発表者名
      Masanori Hino
    • 雑誌名

      Annals of Probability Vol.36

      ページ: 971-991

    • 査読あり
  • [学会発表] Energy measures and derivatives on some fractals2008

    • 著者名/発表者名
      Masanori Hino
    • 学会等名
      日独共同研究Stochastic Analysis and Applications 2008
    • 発表場所
      西新プラザ(福岡県)
    • 年月日
      2008-09-09
  • [学会発表] Energy measures and derivatives on p. c. f. self-similar sets2008

    • 著者名/発表者名
      Masanori Hino
    • 学会等名
      3rd Conference on Analysis and Probability on Fractals
    • 発表場所
      Cornell University(米国)
    • 年月日
      2008-06-13
  • [学会発表] Sets of finite perimeter and Hausdorff measures on the Wiener space2008

    • 著者名/発表者名
      Masanori Hino
    • 学会等名
      2nd International Conference on Stochastic Analysis and Its Applications
    • 発表場所
      Seoul National University(韓国)
    • 年月日
      2008-05-31

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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