研究課題
平成18年度は、種々の数値解析実験・シミュレーションを行い、直感的な理解を深めることをもとに、これまでの非線形問題を的確に把握して数学的(関数解析学的)に再構成してみるとともに問題点を洗い出すことからはじめ、不動点定理・非線形エルゴード理論を介した非線形関数解析学の基礎理論体系の確立および種々の近似法による不動点への収束定理に関する基礎理論の確立を目標として掲げて研究をしてきた。これらの目標に関して、いくつもの有効な研究成果を得ることができ、18年度中に論文として発表されたり、論文掲載が決定しているものがある。その主なものとしては以下の研究成果である。特に、既存の補題に相当するものを見直して、一般のBanach空間において成立するものに再構成した補題を証明し、それをもとに制約可能性問題を意識した、可算個の非拡大写像の共通不動点への強収束定理をw-mappingを用いることで、一般のBanach空間において証明した。さらに、空間の凸性もノルムの微分可能性も仮定しない、Opial条件をみたすBanach空間において、可算個の非拡大写像の共通不動点への弱収束定理をw-mappingを用いて証明した.一方、Opial条件をみたすBanach空間において、可換な半群をパラメタとする写像族の共通不動点に関して、およびその写像族の共通不動点への収束の特徴付けについて考察し、そして空間の凸性も微分可能性も仮定しない、Opial条件をみたすBanach空間において、可換な半群をパラメタとする写像族の共通不動点への弱収定理も証明した。ノルムの微分可能性や空間の凸性も仮定しない空間で収束定理を得ることができ、非線形最適化問題の解を見つける問題への応用の足がかりを担っているといえる。特に、可算個の写像の共通不動点への収束定理に関するものは、計算機への実装に結びつく話でもあり、制約可能性問題などの非線形問題の解への収束定理に直接結びつく、写像族の共通不動点近似に一定の役割を担っているといえる。これらの成果が内外の雑誌で公表され、大変関心をもたれた。これらの事は本研究が今後の研究に結びつくことを裏付けており、また本研究が順調に進み、成果をあげていることを裏付けているといえる。
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バナッハ空間及び関数空間の構造の研究,RIMS Kokyuroku 1520
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Banach and Functional Spaces (印刷中)
Applied Functional Analysis,-Information Science and Related Topics- (印刷中)
非線形解析学と凸解析学研究、RIMS Kokyurok (印刷中)