研究概要 |
今年度は昨年度に引き続き, 2つのD次元正方格子の連結和上の熱核のgradient評価に関する研究を行った.連結部分の増大度がD-2以下であるならばPoincare不等式が不成立であることから直ちに熱核のgradientはGauss型評価を持たないことがわかる(Coulhon, Duong, 1999). そこで本研究では連結部分の増大度がD-2よりも大きい場合を考え, 増大度がD-1未満ならば熱核のgradientがGauss型の評価を持たないことを明らかにした. この証明において, 原点のみでの連結和をとった空間において熱核のgradientがGauss型評価を持たせない点(点列)が原点よりも十分遠くに分布していることを明らかにした. また, Grigoryan, Saloff-Costeがリーマン多様体の場合に明らかにした熱核の上からの精密評価を原点のみでの連結和上において示した. これら成果は現在投稿中であるが, 日独共同研究Stochastic Analysis and Applications 2008(9月), 島根大学松江セミナー(11月), 京都大学微分トポロジーセミナー(12月), 広島大学数理情報科学セミナー(1月)にて発表した.
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