研究課題
T.Giordano(オタワ大学教授)・I.F.Putnam(ビクトリア大学教授)・C.F.Skau(ノルウェー科学技術大学教授)との共同研究によって、カントール集合上の極小な同値関係の軌道同型による分類に関して、成果をあげた。カントール集合上の極小力学系の研究は、C*環論やそのK理論・タイリング空間の研究などと密接に関わっており、私はこれらの複合領域で研究を行っている。Giordano・Putnam・Skauの3人による共同研究は1990年代から始められ、整数群がカントール集合に極小に作用している場合に、軌道同型による分類が確立された。また対応するC*環の分類も成され、強軌道同型という新しい概念も提案された。しかし階数2の自由アーベル群による作用の場合には、状況が飛躍的に複雑化してしまい、ほとんど進展の見られない状態が長らく続いていた。私を加えたこの4名による共同研究は平成17年6月から始まった。平成17年度において私達は、階数2の自由アーベル群がカントール集合に極小に作用している場合に、長年の懸案であった軌道同型による分類に成功した。これはこの分野における1つのブレークスルーと見なされている。本年度はその成果を研究論文としてまとめるとともに、さらにその研究を継続し、任意の有限生成自由アーベル群がカントール集合に極小に作用している場合に、考察を広げた。これらの成果は、対応するC*環の分類やそのK理論の計算などにも応用されうる可能性を持っていると、期待されている。
すべて 2006 その他
すべて 雑誌論文 (3件)
Ergodic Theory and Dynamical Systems 26, No. 2
ページ: 467-480
Selecta Mathematica 12, No. 2
ページ: 199-239
Canadian Mathematical Bulletin (未定)