研究課題
T. Giordano(オタワ大学教授)・I. F. Putnam(ビクトリア大学教授)・C. F. Skau(ノルウェー科学技術大学教授)との共同研究によって、カントール集合上の極小な同値関係の軌道同型による分類に関して、成果をあげた。カントール集合上の極小力学系の研究は、C*環論やそのK理論・タイリング空間の研究などと密接に関わっており、私はこれらの複合領域で研究を行っている。Giordano・Putnam・Skauの3人による共同研究は1990年代から始められ、整数群がカントール集合に極小に作用している場合に、軌道同型による分類が確立された。また対応するC*環の分類も成され、強軌道同型という新しい概念も提案された。しかし一般の有限生成アーベル群による作用の場合には状況が飛躍的に複雑化してしまい、ほとんど進展の見られない状態が長らく続いていた。私を加えたこの4名はこの難題に取り組み、有限生成自由アーベル群のカントール集合への極小作用を軌道同型で分類することに成功した。これらの成果は、対応するC*環の分類やそのK理論の計算などにも応用されうる可能性を持っていると、期待されている。単純なC*環への自由アーベル群の作用に関しても成果をあげた。具体的には、勝良健史(慶応義塾大学講師)との共同研究により、階数2の自由アーベル群のUHF環への作用を分類した。また、2個の生成元を持つCuntz環への階数Nの自由アーベル群の作用についても分類に成功した。さらに、泉正己(京都大学教授)との共同研究により、Kirchberg環という広いクラスのC*環に対して、階数2の自由アーベル群のある種の作用を分類する事にも成功した。これらの研究で培われたアイデアを極小力学系から生じるC*環に応用できないか、模索中である。
すべて 2008
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