研究概要 |
球面に値をとる調和写像の孤立特異点の近傍での挙動を、写像度を用いて解析することを行った。接写像の分類に帰着される問題であり、特に4次元領域から3次元球面への調和写像の場合、孤立した特異点での写像度は±1であり、局所的には回転写像の斉次拡張で近似できることを以前証明したが、これの拡張として5以上の自然数mに対して、m次元球体からm-1次元球面への、斉次な調和写像については、その写像での第二変分が安定性よりもさらに強い性質を持つときは回転写像の斉次拡張になることがわかっていた。今年度はここで仮定している条件が粗くいってエネルギー汎関数の第二変分が最も悪くなるようなベクトル場が、領域での変分から生成されるものであるという仮定であるととが確かめられた。いいかえると球面間の回転写像の斉次拡張で与えられる調和写像の新しい特徴づけを得た。これから従う事実として,mが3以上7以下の自然数のばあい、m次元領域からm-1次元球面へのエネルギーを最小にする調和写像が、安定性よりも強い条件を満たすときは孤立特異点での写像度は±1となることがわかり、さらに特異点の個数の評価式得られる。また値域となる多様体が球面でない場合を考察し、2次元球面からの自明でない調和写像が存在しない多様体については、4次元領域からの孤立特異点をもつ定常と呼ばれる条件を満たす安定な調和写像について、孤立特異点での接写像でのエネルギー汎関数が悪くなるベクトル場を見つけることが出来た。この結果により4次元領域からの調和写像の特異性の持つ特別な性質をみることが出来る。
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