研究概要 |
離散パンルヴェ方程式とは,ある種の「可積分な」2階非線形常差分方程式の総称であるが,最近の研究によりパンルヴェ微分方程式を含むより基本的な力学系であることが認識され,さまざまな観点から近年活発に研究されている.とりわけ,特殊解およびそのタウ函数の構成については,最近の研究により急速に進展しつつある.こうした状況を踏まえ,今年度は,離散パンルヴェ系の特殊解についての研究を引き続き推し進める一方,パンルヴェ微分方程式と典型的な高次元可積分系のひとつである反自己双対Yang-Mills方程式との関連についての研究を行った.結果の概要は以下の通りである. ・Painleve III方程式の超幾何函数解が,反自己双対Yang-Mills方程式の行列式解の特殊化として得られることを示した.また,Painleve III方程式のアフィンワイル群対称性が,反自己双対Yang-Mills方程式の対称性から復元できることを示した.この結果は学術論文に発表されている. ・E_8^<(1)>型q-パンルヴェ系の超幾何解のタウ函数を完全に決定した.カゾラチ行列式表示において,その要素はRahmanのq-超幾何積分で与えられる.この結果は,学術論文として投稿中である.
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