研究概要 |
今年度は、昨年度に示したhomotopy shadowing theoremの証明を更に進化させ、証明の最後の部分をカテゴリカルな議論に置き換えた。つまり、homotopy shadowing によって与えられるhomotopy semi-conjugacyのカテゴリーからsemi-conjugacyのカテゴリーへのfunctorの性質を調べる事で、上の定理の証明を行なった。以上め結果はCornell大学のJohn Smillieとの共同研究である。 また、体積保存系特有の現象を調べるため、まず体積を保存するHenon写像についてはそれがhomoclinic tangencyを持つための簡単な条件について考察した。つまり、Henon写像とその逆写像を共役にするようなinvolutionの不動点集合(これは原点を通るような直線になる)と不変多様体とが交差する事が、homoclicnic tangencyの存在と密接に結びついている事を観察した。これにより、体積を保存するHenon写像が正の位相的エントロピーを持つようなパラメータの範囲を決定出来るようになる。また、同じアイデアを平面上の区分的アフィン写像であるLozi写像にも適用し、次のような予想を得た: Lozi写像族L_{a, b:(x, y)→(1-alxl+by, x) のパラメータ空間において、エントロピーが正であるようなもの全体の境界は、領域{b>0}において区分的代数的になる。以上の結果はParis大学のDuncan Sandsとの共同研究である。 この予想は、Lozi写像族を拡張したskew-Lozi写像族において「繰り込み」を考える事により、ある程度大きいパラメータ領域で証明出来そうである事を確認した。
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