温度の制御装置など工学的に要請される状況を記述した熱方程式は変分不等式で記述できることが知られています。また、物質の移流・対流を考慮すると、変分不等式に現れる移流は発展方程式では「強い非線形性を含む拡散項」または「主要項の非線形摂動」と見なすことができ、抽象的に研究が進められてきた発展方程式の理論を工学的に要請のある非線形問題の可解性の証明に応用できると考えられます。一方、移流項を他の系の解として連立した問題を考慮すると、互いの解の滑らかさがもう一方の可解性に強く影響するため、解の存在は自明ではなくなります。本研究では、領域内部での温度制御を記述する二重障害物問題の非線形熱方程式と、流体の運動を記述するナヴィエ・ストークス方程式の連立系の問題に対して、ある意味での解の存在と一意性を証明しました。また、そこで必要な解の正則性を得るために必要な解の滑らかさを得るための条件を補題として得ました。近似問題を構成し、上記条件を用いることで非線形熱方程式が領域のほとんどいたるところで意味を持つ解の滑らかさを得ました。この結果に関連する成果を3つの研究集会で発表しました。 また抽象的な枠組みで退化放物型方程式とナヴィエ・ストークス方程式との連立系に対して、弱い意味での解の存在を証明しました。この結果に関連する成果を論文として報告しました。
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