研究課題
我々はX線天文衛星「すざく」を用いてベラパルサー星雲を観測し、昨年度は画像解析から硬X線での空間的な広がりを初めて明らかにした。本年度はスペクトル解析を進め、以下のような結果を得た。まず、0.2-10 keVのスペクトルは、温度・アバンダンスの異なる2種類の熱的放射と1種類の非熱的放射の計3成分から説明できること、それら3成分が空間的に異なる分布を持つことを明らかにした。特に、これまでパルサーからのジェットだと考えられていた構造が、実は熱的成分でありパルサー起源でないことを明瞭に示した。2種類の熱的成分に関しては、各成分のアバンダンスから、低温成分(〜0.1keV)が周囲の星間物質が衝撃波により掃き集められたもの、高温成分(〜0.3keV)が超新星残骸起源のイジェクタであると判断した。非熱的成分に関しては、パルサーからの距離が離れるにつれスペクトルが軟化していくことがわかった。これは定性的にはシンクロトロン放射による冷却の効果で説明することができる。もしこの非熱的成分がTeVガンマ線と同一の粒子群に起源を持つとすると(X線はシンクロトロン、TeVガンマ線は逆コンプトン)、この結果はTeVガンマ線でも空間的なスペクトルの変化が観測されることを示唆する。現在、他波長で未同定の拡がったTeVガンマ線源が多数知られているが、その起源の最有力候補がパルサー星雲である。その意味で、近傍にあり最もよく知られるパルサー星雲の1つであるベラパルサー星雲でのTeVガンマ線の起源を探ることで、今後の未同定TeVガンマ線の解明に繋がることが期待できる。
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