本研究の当該年度中の実績概要はおもに以下の3点である。 1点目は、解適合格子コードに磁気流体力学を実装した点である。星形成においては、星間磁場の効果が重要であり、磁気流体力学の実装は必須であった。解適合格子上における磁気流体力学の実装は、星形成分野ではいくつかのグループと競合する点である。 完成した解適合格子コードの成果を論文にまとめ投稿した。現在は審査中である。論文では、磁気流体力学をはじめ、自己重力のスキームに対して、様々なテストを行い、解適合格子コードが2次精度を達成していることを確認した。さらに、磁気雲の自己重力収縮にともなう、原始星とアウトフローの形成という、より実践的なテスト問題も行い、この解適合格子コードの実用性を示した。 2点目は、入れ子状格子における自己重力磁気流体力学シミュレーションを用いた星形成・惑星形成の研究である。この入れ子状格子コードは、上記の解適合格子コードのプロトタイプであり、以下の成果を挙げた。すなわち、(1)磁気雲の重力収縮時における角運動量と磁場の関係の研究、(2)アウトフローとジェットの形成についての原理的なメカニズムの解明、(3)木星型惑星の形成時にアウトフローが形成する可能性、(4)種族IIIの星形成時においてもアウトフローが形成される可能性を明らかにした。 3点目は、観測との連携である。本研究代表者は、アウトフローと星間磁場の整列問題を理論的に研究した。本年度はその成果を、近赤外線の偏光観測に応用した。観測は、NGC2071に対して、SIRPOLを用いて行われたものである。 以上3点が当該年度の研究成果である。
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