現在の標準的な惑星系形成シナリオでは、地球型惑星形成の最終段階は、火星サイズくらいの原始惑星どうしの衝突だと考えられている。この研究では、地球形成シミュレータを構築し、専用シミュレーションコードを開発する。そして、原始惑星系からの地球型惑星系形成のシミュレーションを多数行ない、地球型惑星形成の基礎過程を明らかにする。 初期の原始惑星系の全質量、質量分布、軌道間隔、速度分散、物質密度を系統的に変化させて多数のシミュレーションを行ない、形成される地球型惑星の(1)個数、(2)質量、(3)軌道要素(長半径、離心率、傾斜角)、(4)自転パラメータ(自転角速度、赤道傾斜角)がどのように原始惑星系の初期条件に依存するのかを統計的に明らかにする。まず基本物理過程を見るために、原始惑星系円盤のガスからの抵抗、地球型惑星領域外の巨大惑星(木星等)の重力は考えない。また、簡単のため完全非弾性衝突を仮定する。 平成18年度は上記(1)、(2)、(3)について基本的な統計をまとめ、論文として発表した(Kokubo et al. 2006)。太陽系形成の場合の標準原始惑星系から典型的には、2個の地球サイズの惑星が地球型惑星領域に形成されることがわかった。また、地球型惑星の個数と質量を決める重要な原始惑星系のパラメータは全質量であることがわかった。惑星の個数は全質量の増加に伴い緩やかに減少し、質量は全質量にほぼ比例して増加する。 現在は(4)について、シミュレーションを行い、解析を進めている。
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