本研究では、超新星、γバースト(GRB)等の突発天体の発見報に即応した早期観測を行い、速報結果を報告することにより、極超新星とGRBの残光現象の理解や関連に迫ることを目的としている。今年度は、観測を継続して行うとともに、観測の効率化を目指した観測装置の改造を行った。 1.超新星とGRBの早期分光観測 天候に恵まれず対応できない場合が多かったが、超新星においてはSN2006bb、SN2006bkについて早期分光観測を行い、それぞれCBET454、475号にて結果を報告した。GRBについては、GRB060927、GRB061122の観測を行い、GCNサーキュラーに報告した。特に、前者はz=5.6という高赤方偏移(GRBでは2番目)のGRBの検出に成功したこととなった。これは、中小望遠鏡においても遠方GRBが観測可能であることを示し、遠方宇宙を探る上でGRBは重要な天体であることを印象づけた。その他、光学追観測の立場からX線衛星「すざく」のGRBチームに参加している(Tashiro et al. 2007)。 2.変光星等の分光観測 VarCas06の早期分光観測を行い、マイクロレンズ現象であることを突き止めた。特異天体SS433の「すざく」衛星と同時観測を行い、X線と可視光でのジェット輝線の振る舞いを調べた。はくちょう座V2362の早期分光観測により新星であることがわかった(IAU Circ. 8698)。また、65cm望遠鏡小型分光器によるおうし座T型星の分光観測を行った(Morita et al. 2006)。 3.観測装置の整備 150cm望遠鏡の分光撮像装置の較正とともに、検出器を窒素冷却型CCDからペルチエ冷却型CCDに変更する作業を行った(衣笠ら、2007年春季天文学会V26b)。これにより常時冷却が可能となり、速報の直後でも観測を始めることが可能な体制となった。
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