研究概要 |
本研究の目的は、超強磁場を持つ中性子星マグネターの放射機構を多波長、及び近赤外線領域での偏光観測により解明することである。特に、突発的な変動をするマグネターをX線の波長域でモニターすることは、放射機構の解明に極めて重要である。私は、2009年6月に打ち上げ予定の全天X線監視装置「MAXI」の開発を進めた。特に、マグネターの放射がよく観測できる2-30keVのX線のモニターを行うガススリットカメラ「GSC」のコリメータレスポンスの作成を行なった。また、MAXIの総合試験に立ち会い、装置が正常に動作していることを確認した。それと共に運用時に使用するQLソフトの開発も行なった。 マグネター4U 0142+61の近赤外対応天体に対して行った、世界初のパルス観測の解析を行ない、パルス振幅の世界最高感度の上限値17%(90%C.L)を得た。この結果と可視光でのパルス振幅値を組み合わせ、パルス成分のべきを評価した(Morii et al. PASJ, 2009)。また、日本のX線観測衛星「すざく」によるマグネター1E1841-045の観測結果をまとめ投稿した(Morii et al. PASJ, 2009, submitted)。さらに、4U 0142+61と1E2259+586に対してすばる望遠鏡とRXTEとの同時観測の結果(Tanaka et al.)、1E 2259+ 586に対するRXTEの長期観測の結果(Morii et al.)、「すばる」によるRRATの観測結果(Tanaka et al.)、MAXI/GSCのコリメータキャリブレーションの結果(Morii et al.)について論文を作成中である。今後、本年度に採択された「あかり」、「すざく」のプロポーザルによる観測によりさらなる研究が期待できる。
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