本研究は次期長基線ニュートリノ振動実験(T2K実験)において、ミューニュートリノから電子ニュートリノヘの振動(V_μ→V_e振動)における水チェレンコフ検出器中のバックグランドを精密に測定することが目的である。 T2K実験においてニュートリノビーム発生場所から2キロメートル離れた地点に水チェレンコフ検出器を主体とする複合前置検出器(2KM検出器)を設置することが検討されている。この水チェレンコフ検出器の主な系統誤差である有効体積をキャリブレーションする手段として、有効体積境界に小型光電子増倍管を設置した検出器のデザインを行い、シミュレーションにて有効体積の系統誤差の評価を行った。 また疑似チェレンコフ光生成器(コーンジェネレータ)を用いた電子ニュートリノ事象検出効率のキャリブレーションについても研究を進めている。バックグラウンドの多くは中性パイ粒子崩壊事象の誤認識によるものであり、この擬似パターン光を用いて、電子ニュートリノ・中性パイ粒子識別効率校正を考えている。実際にキャリブレーションを行うには、あらかじめ疑似チェレンコフ光の放射パターンを精密に測定する必要がある。そのために測定セットアップを構築し、そのパターン測定を行った。今年度にて実際にスーパーカミオカンデにて疑似チェレンコフ光のテストおよび解析を行う予定である。
|