歯科医学においてはフッ素が口腔内に存在すると蝕抑制があるといわれ、従来からフッ化物の歯面塗布、フッ素入り歯磨剤、フッ素徐放性歯科材料の応用等が行われ、多くの臨床例が得られている。その中で歯質はフッ素が取り込まれると耐酸性が向上することがわかってきた。これまで科学的測定や電子線による測定で、フッ素が取り込まれるのは表層からせいぜい数百ミクロンであり、特に変化が大きいのは数十ミクロンの範囲であることがわかっている。しかしながらフッ素が歯質にどれだけの量、どれだけの深さまで、どのように分布すればよいのかは未だ十分な精度では解っていない。若狭湾エネルギー研究センターで使用可能であるマイクロ陽子ビームによる核反応からのガンマ線を測定することで、大気中で試料内のフッ素の分布測定法を確立することが、本研究の目的である。 本年度は前年に続き、実験上のパラメーターの最適化を行った。その後、実際に歯の資料を準備して試験的に実験を行った。解析の結果、フッ素分布測定に関して大きな問題は見つかっていない。実験方法としては確立されたといえる。
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