本測定、すなわちB^0→n^'n^'K_s崩壊モードにおけるCP非対称度パラメータ測定における予備測定として行ったコントロールサンプルB^0→f_0(980)(→π^+π_-)K_sのCP非対称度バラメータ測定結果を論文にまとめ、Physical Review D誌に掲載された。 また、本測定においては模擬実験(モンテカルロシミュレーション)やコントロールサンプルを用いた分解関数やCP非対称度測定の線形応答性の妥当性の検証及び系統誤差の把握が重要である。B中間子の三体崩壊においては、中間状態に異なるCP固有値を持つ共鳴状態を含む場合、干渉効果により各成分の崩壊幅が変化し、測定されるCP非対称度に影響を及ぼす事が分かっている。本測定においてもこの効果を考慮した系統誤差を見積もる為、これまで研究グループで用いていたモンテカルロ(MC)シミュレータでは扱えなかった、共鳴状態の干渉による、時間に依存したCP非対称度変化を扱う事のできるようシミュレータを改良した。このシミュレータを用いて大量のMC事象を生成し、特にπ^+π^-K_sを用い、シミュレータの動作を検証した。π^+π_-不変質量を適切な幅で区切り、特定の中間状態の支配的な領域を切りだした時に、予測通りのCP符号が得られる事を検出器シミュレーションを通す前及び後で確認した。また適切なパラメータを与えた場合、このMCシミュレーションにより得られるπ^+π_-不変質量分布は共鳴状態を仮定しない測定結果より、よく実験データを再現する事も確認した。これにより、三体崩壊における共鳴状態の干渉効果による影響を、本測定のみならず、より一般的な場合において見積もる事が可能となった。
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