波形解析の方法を用いて、シンチレータに含まれる放射性不純物量を測定するためのシステムを構築する。本研究では、212Bi(ベータ崩壊)→212Po(アルファ崩壊、半減期0.3μsec)→208Pb(トリウム系列)の連続崩壊の検出を行う。さらに、そのシステムを二重ベータ測定用CANDLESシステムに導入し、上記崩壊を除去することでバックグラウンドを低減化する。本年度は、波形収集のための高速サンプリング(500MHz)FADCの性能評価を行った。 1、500MHz-FADCを用いて連続崩壊によるパイルアップ事象の同定を行った。予定通り、事象の99%以上を検出することができた。 2、上記システムをCANDLESシステムに最小限ながら導入し、大型システムでの性能を見積もった。 3、アルファ線とガンマ線の波形による粒子弁別の効率を向上させた。このことにより、バックグラウンドを低減化し、低レベル放射能の測定が可能であることを実証した。 4、CANDLESシステム用CaF_2(pure)結晶の不純物濃度を測定し、最終的に96個の結晶の不純物測定を終えた。 5、さらに不純物濃度の測定感度を上げるため、液体シンチレータに複数個のCaF_2(pure)結晶を沈めて測定する。各結晶で起こった信号の位置分解能を調べ、測定感度向上に問題がないことを示した。また、液体シンチレータを使用することによるパイルアップ事象の検出効率の低減がないことを示した。 6、汎用性を高めたFADCの開発を行い、CANDLESシステムへの大量FADCの導入を進めた。
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