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2006 年度 実績報告書

宇宙の進化における位相的欠陥の役割

研究課題

研究課題/領域番号 18740157
研究機関青山学院大学

研究代表者

山口 昌英  青山学院大学, 理工学部, 助教授 (80383511)

キーワード宇宙物理 / 位相的欠陥
研究概要

WMAP衛星による宇宙背景放射の非等方性の観測により、インフレーション宇宙論がほぼ確かめられました。次のステップは、どのインフレーションモデルが実際に起きたのかを決定することです。そのヒントとなりうる観測結果が示唆されました。原始密度揺らぎのスペクトル指数が、大きなスケールから小さなスケールになるにつれて一を跨いで急速に小さくなることです。このような密度揺らぎの性質を説明することは一般に極めて難しいです。私は、超重力理論での(スムーズ)ハイブリッドインフレーションが自然にそのようなスペクトルを説明出来ることを示し、生成される密度揺らぎを数値計算により正確に求めました。また、この際に起きる共鳴現象のために、あるスケールの揺らぎが増幅され原始ブラックホールが形成されうることを示しました。
これまで行われてきたコスミックストリングの研究のほぼ全てで、テンションは時間に依らないと仮定されてきました。しかしながら、振動する場との結合がある場合やブレインワールドモデルにおいては、一般にテンションは時間依存性を持ちます。この新しいクラスのストリングに初めて着目し、宇宙における進化や構造形成への影響を議論しました。まず、テンションに時間変化がないときと同じように、系がスケーリング則に落ち着く事を解析的に示しました。また、宇宙背景放射の非等方性の観測や大規模構造の観測から、これらのテンションに対する制限を与えました。次に、ニュートリノの質量やウォームダークマター(WDM)の質量に対する考察を行いました。ニュートリノやWDMの質量の絶対値については、それらのfree streamingによる宇宙の大規模構造への影響を考察することにより一番厳しい上限が得られます。しかしながら、これらの制限は、初期の密度揺らぎとしてインフレーションから作られたものだけを考えることにより得られておりますが、ストリングから作られる揺らぎを考慮することにより、制限が緩和される可能性があります。私は、解析的・数値的両方の手法により、ニュートリノの質:量に対する制限はほぼ変わらない一方、WDMの質量に対する制限は大きく緩和されうることを示しました。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2007 2006 その他

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] Time variation of proton-electron mass ratio and fine structure constant with runaway dilaton2007

    • 著者名/発表者名
      T.Chiba, T.Kobayashi, M.Yamaguchi, J.Yokoyama
    • 雑誌名

      Physical Review D75

      ページ: 043516

  • [雑誌論文] Power spectrum of the density perturbations from smooth hybrid new inflation model2006

    • 著者名/発表者名
      U.Kawasaki, T.Takayama, M.Yamaguchi, J.Yokoyama
    • 雑誌名

      Physical Review D74

      ページ: 043525

  • [雑誌論文] Implications of cosmic strings with time-varying tension on CMB and large scale structure2006

    • 著者名/発表者名
      K.Ichikawa, T.Takahashi, M.Yamaguchi
    • 雑誌名

      Physical Review D74

      ページ: 063526

  • [雑誌論文] Effects of Cosmic Strings on Free Streaming2006

    • 著者名/発表者名
      T.Takahashi, M.Yamaguchi
    • 雑誌名

      Physical Review D74

      ページ: 063512

  • [雑誌論文] Lepton asymmetry in the primordial gravitational wave spectrum

    • 著者名/発表者名
      K.Ichiki, M.Yamaguchi, J.Yokoyama
    • 雑誌名

      Physical Review (in press)

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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