研究課題
カーボンナノチューブ内部に一次元π共役分子(カロテノイド色素・スクアリリウム色素)を内包し、内包分子の光物性を明らかにした。内包された色素の構造を、粉末X線回折散乱・ラマン・偏光吸収測定を用いて特定した。その結果、π共役分子はカーボンナノチューブ内部で、チューブ壁から約4Å離れた位置にオフセンターに位置し、チューブ軸に平行に配列していることを明らかにした。発光測定から、内包色素からカーボンナノチューブへの光励起エネルギー移動が起きていることを明らかにした。カロテノイド色素においては、同色素の吸収帯が半導体カーボンナノチューブのS3、S2吸収バンドと重なっていた為、光励起エネルギー移動が可能であったと考えられた。スクアリリウム色素においては、半導体カーボンナノチューブの吸収帯に外れた位置に同色素の吸収があった為、エネルギー移動は困難と予想された。しかしながら、非常に高効率の光励起エネルギー移動が、スクアリリウム色素内包ナノチューブにおいて見られたことから、同光励起エネルギーはダイポール相互作用に由来するものだけでは無いことが示唆されている。超高速分光測定から、内側色素から外側のカーボンナノチューブへの光励起エネルギー移動がフェムト秒オーダーの時間領域で起きていることを明らかにした。以上の結果は、内包色素の励起一重項状態に由来する。内包色素の励起3重項状態に由来する色素内包ナノチューブの物性を明らかにすることも重要課題の一つであった。同課題に取り組む為、まつナノ炭素材料の一重項酸素の除去能を明らかにした。これは、一重項酸素の除去能力は分子の励起三重項状態のエネルギー位置に大きく依存するからである。カーボンナノホーンや各種フラーレンの一重項酸素除去能を明らかにした。以上の研究成果を学術論文誌に発表を行った。
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