局所相関と長距離相関の両者を正確に取り込むことは長年にわたる非常に困難な問題であるが、その克服を通じて初めてモット転移近傍の電子状態に関する理解が得られると思われる。こうした問題を取り扱う新しい手法を開発し、典型的な対称ケースの2次元ハバード模型に適用した。 具体的には、1体、2体のグリーン関数が満たす厳密な関係式に対し、4点バーテックスを局所近似することで、自己エネルギーを局所部分と非局所部分に分離した。局所部分と非局所補正は、動的平均場理論を用いて評価することができる。 この結果、局所相関のみを考慮した動的平均場理論と比較して、非局所磁気相関は状態密度に擬ギャップを生じさせること、絶縁層では、斥力の増大とともにスレーター型の反強磁性絶縁体の状態密度に類似してくることを示した。 その他、こうした強相関電子系の電子状態の困難と発展に関した教育的なセミナーを行ない、テキストを執筆した。
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