研究課題
ポーラスアルミナ中に作られる整列した細孔中に^3Heを閉じ込めた場合、ナノメートルサイズの1次元^3He量子液体、固体が形成されることが期待される。1次元の孔を小さくしていった場合、どの程度の大きさまでバルクの超流動は生き残るのか?超流動が消失する臨界点近傍でも、超流動の秩序パラメータはバルクと同じなのか?を明らかにする目的で実験を行った。本年度は孔径20nmの持つポーラスアルミナを使い、NMRセルの作成及び実験を行った。ポーラスアルミナ板(Whatman社製、孔径20nm)100枚を、マコール製の試料ケース(高さ6mm程度)に入れ、その外側にNMRコイルを巻きセルを作成した。液体ヘリウム3の圧力を飽和蒸気圧0barから固化圧力34bar直前までの広範囲で変えて、NMR吸収線の周波数シフトを用いて、超流動状態の探索を行った。これまでに得られているデータから判断すると、細孔中の液体^3Heは、細孔外に存在するバルクの液体^3Heと強く相互作用していて、バルクの超流動転移が起こると同時に細孔内も超流動転移するということが結論された。ただし、この実験では、試料の質に問題があった可能性があり、今後詳細な検討が必要な状況である。なお、この結果については、2007年春の日本物理学会において口頭発表した。また上記の実験と平行して行っていた、強磁場下における超流動^3He状態のスピン緩和測定の結果をNature誌に発表した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Nature 444
ページ: 909
Inorganic chemistry 45
ページ: 529