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2006 年度 実績報告書

有機三角格子磁性体における新奇基底状態とその低エネルギー励起の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18740199
研究機関京都大学

研究代表者

伊藤 哲明  京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 教務職員 (50402748)

キーワード磁性 / 強相関電子系 / スピン液体 / 核磁気共鳴
研究概要

量子効果の大きなS=1/2スピン系は、高フラストレーション下では、量子揺らぎによりスピンの秩序化が抑制された量子スピン液体状態が実現する可能性が従来より指摘されている。しかしながら、この量子スピン液体が実現しているという現実の物質はほとんど知られていなかった。
本研究(18年度)では、二次元三角格子S=1/2スピン系である、[Pd(dmit)_2]_2X;X=(C_2H_5)(CH_3)_3Sbに対し、1.3Kまでの温度域のNMR測定を行うことにより、この物質において量子スピン液体が実現している可能性が極めて高いことを明らかとした。具体的には以下のようなことを行った。
まず、実験準備として、完全非磁性NMRプローブの開発を行った。このプローブにより、試料にかける外部磁場の不均一を1Gauss以下に抑えることに成功した。
この完全非磁性プローブを用いて、上記物質の^<13>C-NMR測定を行い、以下の点を明らかとした。
1.磁気秩序が生じると、秩序化したスピンによる大きな内部磁場が生じるはずである。しかしながら上記物質においては、1.3Kという低温領域まで冷やしても、^<13>Cサイトにおける内部磁場はせいぜい10Gaussオーダーである。
2.スピンの秩序化に伴う核磁気緩和率の臨界発散が生じない。
上記2点より、この物質においては1.3Kという低温域まで、スピンの秩序化が起きていないことが明らかとなった。1.3Kという温度は、スピン間相互作用(250K程度)の100分の1以下の温度であり、熱揺らぎの影響は十分に排除できている。従って、このことより、量子スピン液体状態がこの系で実現していると結論付けられる。さらにこの量子スピン液体において、
3.低温極限において、核磁気緩和率は、指数関数的に減少するのでなく、ほぼ一定である。
という点を明らかとした。これは、このスピン液体の励起スペクトルがギャップレスであるということを強く示唆するものである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Spin-liquid state in an organic spin-1/2 system on a triangular lattice, EtMe_3Sb[Pd(dmit)_2]_22007

    • 著者名/発表者名
      T.Itou, A.Oyamada, S.Maegawa, M.Tamura, R.Kato
    • 雑誌名

      Journal of physics.condensed matter 19

      ページ: 145247

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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