• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

有機三角格子磁性体における新奇基底状態とその低エネルギー励起の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18740199
研究機関京都大学

研究代表者

伊藤 哲明  京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 助教 (50402748)

キーワード磁性 / 強相関電子系 / スピン液体 / 核磁気共鳴 / 超伝導
研究概要

●(C_2H_5)(CH_3)_3Sb[Pd(dmit)_2]_2の内側^<13>C原子におけるNMR測定
本研究課題の昨年度までの成果として、dmit分子上の外側^13CサイトNMR測定により、上記物質は20mKまで磁気秩序は生じないことを明らかとし、基底状態はスピン液体状態であると考えられることを示してきた。また、スピン-格子緩和率の温度依存性に1Kで異常が見られることを見出してきた。ただし、外側^<13>Cサイトは超微細結合が小さく、この異常がスピン系の性質を反映しているかどうかを確定できていなかった。今年度はこの点を確定するため、dmit分子上の内側Cサイトを^<13>Cに置換した試料を準備し、超微細結合の大きな内側^<13>CサイトにおけるMR測定を希釈冷凍機下で20mKまで行った。この結果、内側^<13>Cサイトでも1Kで緩和率の温度依存性に急激な変化があることを見出し、この異常が間違いなくスピン系の性質を反映していることを明らかとした。この温度でスピン系に2次相転移、即ち何らかの対称性の破れが生じていると考えられる。内側^<13>Cスペクトルでも、線幅の増大は全く見られず、この相転移が古典的磁気秩序で無いことが確認された。また、緩和率の低温極限での温度依存性は温度の2乗に比例しており、相転移以下の低温相では、ノードギャップが開いている可能性があると思われる。
●(C_2H_5)(CH_3)_3P[Pd(dmit)_2]_2の圧力-温度相図の最終決定
昨年までの^<13>C-NMRの実験結果を詳細に解析し、上記物質の圧力-温度相図を完全に確定させ、圧力下超伝導相がスピンギャップ相に隣接していることを示した。この結果は、強相関電子系超伝導は反強磁性秩序相に隣接して出現するという従来の常識を覆すものであり、超伝導発現機構に一石を投じるものである。(この結果はPhys.Rev.BのEditors' Suggestionに選出された。)

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] ^13C NMR study of the spinliquid state in the triangular quantum antiferromagnet EtMe_3Sb[Pd(dmit)_2]_22009

    • 著者名/発表者名
      T. Itou
    • 雑誌名

      Journal of Physics : Conference Series 145

      ページ: 012039 1-012039 4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Superconductivity on the border of a spih-gapped Mott insulator : NMR studies of the quasi-two-dimensional organic system EtMe_3P[Pd(dmit)_2]_22009

    • 著者名/発表者名
      T. Itou
    • 雑誌名

      Physical Review B

    • 査読あり
  • [学会発表] 分子中央部サイトの^13C-NMRで見た有機三角格子反強磁性体EtMe_3Sb[Pd(dmit)_2]_2のスピン液体状態2009

    • 著者名/発表者名
      山下和也
    • 学会等名
      日本物理学会第64回年次夫会
    • 発表場所
      立教大学
    • 年月日
      2009-03-28
  • [学会発表] 三角格子Mott絶縁体Pd(dmit)_2塩の分子内側サイト^13C-NMR2009

    • 著者名/発表者名
      伊藤哲明
    • 学会等名
      日本物理学会第64回年次大会
    • 発表場所
      立教大学
    • 年月日
      2009-03-27
  • [学会発表] 三角格子有機モット絶縁体EtMe_3Sb[Pd(dmit)_2]_2におけるスピン液体状態2008

    • 著者名/発表者名
      伊藤哲明
    • 学会等名
      特定領域研究(フラストレーションが創る新しい物性)第3回トピカルミーティング「フラストレーションとスピン液体」
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      2008-12-23
  • [学会発表] ^13C NMR study of the spin-liquid state in the triangular quantum antiferromagnet EtMe_3Sb[Pd(dmit)_2]_22008

    • 著者名/発表者名
      伊藤哲明
    • 学会等名
      Highly Frustrated Magnetism 2008
    • 発表場所
      Braunschweig, Germany
    • 年月日
      2008-09-10

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi