セリウム磁性超伝導体であるCePt_3Siは結晶構造に反転対称性を持たないため、磁性と超伝導の共存についての興味だけでなく、超伝導の対称性についての興味も持たれている。しかし、試料依存性が興味ある議論の前に立ちはだかっている状態であった。我々は化学量論的組成に注目し、これが試料依存性の原因であることを明らかにしてきた。 本研究課題において、我々は比熱測定装置を自主制作し、1.7Kから20Kまでの測定を行った。これによって、Ptリッチの試料に現れる強磁性的な異常が不純物相に拠るものでなく、Ptを多くしたことによるCePt3Siの本質であることを明らかにした。この系特有の反転対称性を欠いた部分がPtを加えたことにより反転対称性を取り戻しているのではないかと提案した。この結果については、国際会議(ICM 2006)で報告した(G. Motoyama et al. : J.Mag.Mag.Matt v310(2007)e126-e128.)。さらに、本研究の目的は磁性と超伝導の相関関係及び超伝導状態にあるので、自主制作した希釈冷凍機の改良及び超低温領域における比熱測定装置の立ち上げを行った。現在、この装置は運転可能になっており、100mKからの比熱測定が可能になっている。超伝導状態の比熱測定は現課題である。 また本学内のNMRグループと共同研究を行っており、本研究課題と連携して研究を行っている。NMR測定より超伝導状態の情報を得ている。その成果も国際会議(ICM2006)で報告されている(K.Ueda et al. : J.Mag.Mag.Matt.v310(2007)e126-e128.及びJ.Appl.Phys.v99(2006)08M511.)。
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