研究概要 |
結晶構造が斜方晶ε-TiNiSi型をとる重い電子系Yb化合物YbRhsb,YbNiSn,YbPtA1は、磁気転移温度の圧力依存性から、近藤効果、結晶場効果及びRKKY相互作用の競合を理解する上で格好の物質群と考えられる。本年度は圧力誘起磁気相転移を示すYbRhSbの、常圧及び高圧相での中性子散乱と、YbRhSbより単位胞体積の大きいYb系新化合物の探索を計画した。前者はこれまでに常圧での測定を行い、低温で磁気モーメントがb軸方向に向いた反強磁性秩序をとることが分かった。また後者について、Rhより原子半径の大きいIrを置換することにより、結晶構造が同じ新物質YbIrSbを見出した。YbIrSbはYbRhSbに比べて約1.2%単位胞体積が大きい。さらに磁化率及び比熱測定から、3.7Kで反強磁性転移を示す重い電子系化合物であることを明らかにした。体積が増加したにもかかわらず磁気転移温度がYbRhSb(転移温度2.7K)よりも高いことから、YbIrSbも圧力下で相転移を示すと期待される。
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