研究概要 |
1、PuRhGa_5の核磁気共鳴(NMR)を超伝導特性の時経効果を調べるために、単結晶試料の再熱処理を施し、再び行った。Pu化合物では、自身のアルファ崩壊により欠陥導入が行われ、超伝導特性が経時により変化する。既報の前回の実験(H.Sakai et al.,JPSJ 74,1710(2005))は、熱処理後1ヶ月後のデータであったが、今回新たに1週間後の核四重極共鳴(NQR)緩和率1/T_1のデータを採取できた。両者を比較すると、経時により超伝導転移温度T_cの若干の低下が見られるが、超伝導ギャップの異方性や値に大きな差はなカ}った。しかしながら、T_c以下の緩和率の減少は、時経の大きな試料において極低温で抑えられT_1T一定に近づく。これは、時経に伴う試料自身のアルファ崩壊によって導入される格子欠陥等によって、残留状態密度が生じることを意味する。 2、外部磁場を用いて、単結晶試料PuRhGa_5のナイトシフト(K)測定を行った。常伝導状態のナイトシフトは、T^*〜30K以上で帯磁率(x)の温度依存と同様のCurie-Weiss的な温度依存を示した。単結晶の各軸方向でのK-x解析を行い、超微細結合定数の決定を行った。また、特性温度T^*以下では、Kの温度依存はほとんどなくなる。このT^*以下では、NQR緩和率1/T_1の温度依存もT_1T一定となる。 3、PuRhGa5の参照物質と考えられる希土類化合物LuCoGa_5のNQR緩和率を測定した。アクチノイド系の5f非有元素Thでは、Ga元素を配位子とした115化合物の合成に成功しておらず、In配位子115化合物の合成に成功しているのみである。また、軽希土類側のLaでもIn配位子115化合物しか合成されていない。LuCoGa_5のNQR緩和率は、高温300Kから低温4KまでT_1T一定を示し、1/T_1Tの値はPuRhGa_5のそれよりも随分小さい。
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