高分子共重合体は、熱平衡構造として様々なメソスケールの周期構造を形成することで知られている。周期構造にはラメラ、BCC球構造、ヘキサゴナルシリンダー構造、Fddd構造、ジャイロイド構造が報告されてきた。本年度は、昨年度から引き続きfcc球構造の安定性を調べた。システムサイズも変更できるダイナミクスを取り入れた3次元数値計算により、fcc球構造も安定に存在することを示した。また、エネルギーを計算し、他の構造と比較することで、相図内にfcc構造が最安定になるパラメータ領域が存在することも明らかにした。これまで安定ではないと思われていたfcc構造が存在するのかを明らかにするために、モード展開による安定性解析も行った。それにより、高次のモードが安定性に大きな影響を与えることを明らかにした。また、線形粘弾性の範囲で、貯蔵弾性率G'と損失弾性率G"を解析的に求めることもできた。その結果を振幅方程式による数値シミュレーション結果と三次元数値シミュレーションと比べた。同様にしてBCC構造の粘弾性を求め、FCC構造のものと比較することで、BCC構造とFCC構造という古くから知られている球構造の動的特性の違いを検討した。線形流体力学効果を考慮にいれてPoisson bracket formalismを用いて構築した運動方程式の動的特性(拡散係数、音速、音響減衰等)を、Phase Field Crystalモデルを用いて検証した。
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