本年度は、種々の極小曲面に対する空間3次元秩序構造のホモロジー量を系統的に分類した。特に、最近発見されたネットワーク構造であるFddd構造についてのトポロジーの観点からの特徴付けは初めての試みである。これらの基礎的なデータは、反応拡散系における時空カオスの遷移パターンの道筋の同定に有効である。また3次元空間内での見かけの構造が異なっていても、位相的不変量である、多面体のべッチ数は等しくなる場合があること示した。これらの結果は、2006年8月に英国オックスフォード大学で行なわれたGordon Research Conferenceにてポスター発表を行なった。また2007年2月には、龍谷大学科学技術共同研究センター主催の国際ワークショップにて講演を行い、解析アルゴリズムを開発しているグループとの情報交換を行い、より効率的な解析方法についての助言を得ることができた。上述の反応拡散系の数理モデルから得られるモルフォロジーでは、ノイズをコントロールできるために空間対称性を保つことができる。一方、2次元散乱パターン・リバースモンテカルロ法解析により、散乱実験結果から再現される複雑ネットワーク構造には欠陥部分が生じ、ホモロジー量に重大な影響を与える。よって、これらノイズを除去するマスク手法を開発するために、研究協力者らとの打ち合わせ、及び情報交換を定期的に行い、また学会・論文発表の準備を進めている。
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