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2008 年度 実績報告書

可積分量子系および近可積分量子系に対する新しい準位統計理論の構築

研究課題

研究課題/領域番号 18740241
研究機関東海大学

研究代表者

牧野 浩典  東海大学, 情報理工学部, 准教授 (40338786)

キーワード準位統計 / 量子カオス / 矩形量子箱
研究概要

今年度は平成19年度に実施したの研究の成果をスペクトル硬度や準位数分散の理論に応用し、これらの量の振る舞いに関する詳しい分析をおこなった。平成19年度の研究によって可積分量子系のエネルギー準位統計には3つのクラス(ポアソン統計/漸近ポアソン統計/サブポアソン統計)が存在することが理論的に示唆されたが、今年度は、これら3つのクラスの差異が準位数分散(あるいはスペクトル硬度)の傾きに表れることを理論的に示すことに成功した。傾きの値はポアソン統計では1、漸近ポアソン統計では1以上、サブポアソン統計では3以上になる事が明らかになった。さらに、矩形量子箱系に対する数値計算を行い、3つのクラス全ての証拠を実際の物理系で確認することにも成功した。これら3種の結果はグッツウィラーの周期軌道理論による結果とも矛盾していない。特に2番目に挙げた漸近ポアソン統計と3番目に挙げたサブポアソン統計が生じるケースについては、スペクトル硬度や準位数分散の理論において報告事例が全く無く、対称性を起源とするエネルギースペクトルの異常集積がもたらす量子系の新しい統計則である。矩形量子箱は単電子メモリなど、量子ドット系としての工学的な応用にも用いられており、最もポピュラーな量子系の一つとして量子論の教科書にも多数とりあげられている。このような模範的な量子系において新しい性質を解明することができた。本研究は量子化された可積分系に対し、これまで知られていた統計則の導出に関する新しいアプローチ法を提案するとともに、新しいアプローチ法を採用した際に得られる新しい統計則の可能性を示した。量子系の性質を深く理解するための学術的な知見を与えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Statistical properties of spectral fluctuations for a quantum system with infinitely many components2009

    • 著者名/発表者名
      H. Makino, N. Minami and S. Tasaki
    • 雑誌名

      Physical Review E 79

      ページ: 036201-036210

    • 査読あり

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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