微小重力下の実験において観察された、円環状容器内のマランコニ対流中で複数の気泡が等間隔に整列する現象に着目し、そのメカニズムの解明を目指す研究を行った。18年度には、気泡整列の主因として、(a)気泡の表面流動、(b)気泡の排除体積効果、(c)対流自身の周期構造形成を予想し、それぞれの効果を確認するため、(a)対流中に作動流体と同密度に調合した液滴を投入する実験、(b)同様の密度調整をした固体球を投入する実験、(c)トレーサー粒子を用いた対流構造の可視化実験を行い、効果(c)を示唆する観察結果を得た。それを受け、19年度には、対流構造の可視化に的を絞って実験を行った。対流強度を表すマランゴニ数Maを制御変数として変化させる実験において、以下のような現象が観察された。すなわち、Maが低い場合にはトレーサー粒子が対流渦の中心付近に集まってリング状の凝集パターンを形成し、Maの増大とともにこのリングの幅および直径が増大するが、最終的にはリングに亀裂が入り崩壊する、というものである。これは、低Ma領域においては等方的な対流構造が形成され、Maとともに成長するが、やがて不安定化し新しい構造へと遷移するてとを意味している。逆にMaを減少させた時にはリング状パターンが再形成された後、縮小していくという逆プロセスが観察された。さらに、リング構造の崩壊と再形成に対応する臨界マランゴニ数を測定し、両者が一致しないこと(ヒステリシス依存性)を示唆する結果を得た。現在、より精密で定量的な測定を進めている。
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