時間相関光子対と原子の2光子相互作用は、通常のコヒーレント光との相互作用よりも非常に大きくなることが予想されている。また、光子間に相関のないコヒーレント光よりも、2光子間に量子的な相関のある光子対の方が、とりうる状態の自由度が大きく多様な2光子相互作用が期待できる。これらの現象を実験的に実現することが本研究の目的である。 本年度は、主に光電子増倍管の2光子カスケード遷移を利用した光子対検出の実験を行った。コヒーレント光を用いた予備的な実験において、入射強度の2乗に比例する光電流を観測することができている。これは、光電面において2光子吸収が起こり光電流が流れている証拠である。次に導波路型PPLN結晶を利用して生成した数百nWの高強度光子対ビームを光電子増倍管に入射する実験を行った。そして今度は光強度に比例した光電流を観測することに成功した。これは、光子対による2光子吸収によって光電流が誘起された証拠である。この光子対検出法は2光子干渉の実験に応用できると考えている。 気体原子の2光子遷移に関する研究も開始している。2光子遷移に同調した光子対をフォトニック結晶ファイバにおける4光波混合を利用して生成する実験を行った。その結果、760nmの波長のポンプ光を用いて740nmと780nmの波長の非縮退の光子対を生成することができた。今後この光子対を利用してルビジウム原子の2光子遷移の研究を行う。
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