今年度は、昨年より行っていた、光電子増倍管の光電面での2光子吸収を利用した光子対の検出の研究以外に、新たな光子対生成法である、4光波混合を用いた光子対生成について研究を行った。4光波混合を起こす媒質は数多くあり、通常の光ファイバを用いた研究が最近になり盛んになってきたが、本研究では、フォトニック結晶ファイバを用いた光子対の生成に取り組んだ。非線形性の高いフォトニック結晶ファイバを利用することにより、高い変換効率が期待できる上に、ゼロ分散波長も自在に設計できるので、生成可能な光子対の波長の自由度が高まる。研究の結果、ポンプ光波長を調整することで、非常に広いスペクトルの光子対を得ることに成功した。実験では、760.4nmの波長のポンプ光を入射して生成された光子対のうち、660nmの光子をシグナル光子、900nmの光子をアイドラ光子として同時計数を行い、光子対の生成の確認した。さらに、生成された光子対を非対称マッハツェンダー干渉計に導入し2光子干渉実験を行った結果、83%の明瞭度の2光子干渉縞を観測することができた。これは、古典的電磁気学で説明がつく限界の明瞭度(50%)を越えており、光子対間に量子的な時間相関が存在することを意味する。光子対の生成に4光波混合を利用することで、ポンプ光と同程度の波長の光子対を生成することができる。これにより、短波長の光子対を生成することが容易になると考えられ、回折限界を超える高分解干渉法に有用な方法であると考えている。
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